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2026.05.23

右腕がいない、相談できる人がいない。 経営企画を外部に持つという選択肢【中小企業診断士・池尻直人 前編】

経営者の頭の中にある構想が、言葉にならないまま止まっている

経営者として目の前の業務に追われ、3年後・5年後のことを考える余裕がない。相談できる右腕もいない。そんな中小企業では、経営者の頭の中にある構想が言語化されず、組織が思うように動けなくなることが少なくありません。
こうした状況に、外部から「社外経営企画室長」として参画し、構想を言葉にし、計画にし、実行まで伴走する中小企業診断士がいます。トラスタライズ総研株式会社の代表・池尻直人さんです。株式会社ブリヂストンで約16年にわたりマーケティングや新規事業開発に携わった後、独立。米国公認会計士の資格も持ち、経営企画のアウトソーシングという支援を提供しています。

■ 事業者情報

事務所名トラスタライズ総研株式会社
代表者池尻 直人(中小企業診断士・米国公認会計士)
事業内容経営コンサルティング、経営計画・策定支援、経営企画室代行 等
所在地〒107-0061 東京都港区北青山一丁目3番1号 アールキューブ青山3階
連絡先03-6774-7746 / info@trustalize.co.jp
営業時間平日 9:00〜18:00(土日祝定休)
ホームページhttps://trustalize.co.jp/

「経営企画」とはどのような役割か

――企業の成長を目指す経営者にとって、頼れる「右腕」の存在は不可欠です。そもそも経営企画とは、どのような役割を担うポジションなのでしょうか。
 経営者が日々頭の中で考えていること、まだまとまっていないモヤモヤした構想をきちんと形にして、現場が実行できる具体的な計画や数値に落とし込んでいく。そうやって抽象的な思いを、誰もが理解できる行動へと変換していくような機能だと捉えています。

――経理や営業といった実務部隊とは異なり、経営企画が存在することで、企業にはどのような価値やメリットが生まれるのでしょうか。
 大きく分けて二つあります。
 一つ目は、「今ないものをゼロから形にしていく」という側面です。経理や人事は基本的に会社の「今」を回していく役割ですが、経営企画は新規事業など将来を作ります。
 二つ目は、経営者の考える方向性や価値観を踏まえて組織を動かしていく機能です。経営企画が機能していると、各部署が一つの方針のもとに統制が取れ、連携して動けるようになります。

経営企画が機能している会社と、そうでない会社

――これまで支援されてきた中で、経営企画がうまく機能している企業とそうでない企業の違いはどこにあると感じますか。
 うまくいかない企業は、そもそも経営者の考えを外から分かる形に落とし込んでいない(言語化していない)ケースが多いです。創業者が1人で作り上げてきた会社も、年商10億〜20億円、従業員20〜30人を超えてくると組織で動く必要があり、トップの頭の中にしかない「あうんの呼吸」では動けなくなります。また、計画を一生懸命作っても誰も管理せずに寝かせてしまい、絵に描いた餅になることも多いです。
 一方、うまくいっている企業は、経営者の頭の中や将来像を、誰もが理解できる共通のルールとして言語化して落とし込んでいます。そして作って終わりではなく、日々進捗を確認し、修正しながらPDCAを回しています。

――規模が小さいと、経営者ご自身が実務と経営企画を兼任し、右腕がいない状態で疲弊しているケースも多いです。これにはどのようなリスクがありますか
 三つのリスクがあると考えています。
 一つ目は、目の前の業務に忙殺され、本来の役割である「3年後、5年後を見据える仕事」が後回しになること。
 二つ目は、経営者自身が管理まで行うと、社員が「社長の聞きたいストーリー」を作ってしまい、率直な報告が上がらず意思決定が歪むリスクです。
 三つ目は、判断基準がトップの頭の中にしかないという属人化のリスクです。

――目の前のことに忙殺されつつも、数年後を見据えてうまくやっている経営者は、何かコツがあるのでしょうか。
 まず、経営者の時間は非常に貴重であり、全て自分でやることが必ずしもいいことではないと認識することです。半日でも1日でも先を考える時間を取り、まずは頭の中のモヤモヤを文字や図にして形にすること。そして、その実行を社内の人に任せたり、部分的に外部を起用したりして、明日から現場が具体的に何をすべきかというタスクのレベルにまでしっかり落とし込むことが大切です。

経営企画の育成・採用に立ちはだかる壁

――優秀な営業マンなどを社内で経営企画の右腕に育てようとして、つまずく企業もあるようですが、その理由は何でしょうか。また、外部採用する場合のハードルについても教えてください。
 営業部門での優秀さと、経営における能力は似ているようで違います。
 経営企画には会社全体を俯瞰する視点や、部門横断的な地道な調整力が必要です。これらを一から社内で育てようと思うと何年かはかかりますし、営業のエースを引き抜くと現場も困ってしまいます。また、社内の人間だと古巣に対して強く言えないといった「しがらみ」もあります。
 一方、外部から採用しようとしても、経験者は市場になかなか出てきません。代わりにコンサルティングファームの経験者を採用するとなると、非常に高いコストがかかってしまいます。

――採用も育成も難しいとなると、経営企画のアウトソーシングという選択肢が出てきます。社外経営企画室長として外部のプロを入れるメリットは何でしょうか。
 メリットは大きく三つです。
 一つ目は、第三者としての客観性。二つ目は、他社の仕組みの知見を自社に応用できること。三つ目は、特定の部署に肩入れしない「しがらみのなさ」です。
 ただし、ただアドバイスするだけでは前には進みません。私の場合は、経営企画室の機能として参画し、一緒に手を動かして管理のフローを回す「実務の面を請け負う(伴走支援)」ことを大事にしています。管理とはいってもドライなものではなく、経営者さんに寄り添い、下支えする立ち位置で一緒に解決策を考えます。

――経営企画人材を正社員で採用するコストと比べた場合、外注のコストパフォーマンスはどうでしょうか。
 経験者を外部から雇うとなると、年収1,000万〜2,000万円近くかかることもあり、ほかに採用手数料や社会保険料などもかかります。一方で外注であれば、関与度合いにもよりますが月額数十万円、年間で数百万円程度に収まるケースが多く、合わなければ契約を終了できるメリットもあるため非常にリーズナブルです。
今まさに悩んでいる経営者へ

――最後に、「次の成長ステージに進みたいが、右腕となる存在がいない」と悩んでいる経営者の方へメッセージをお願いします。
 経営者の皆さんは真面目に事業に向き合っているからこそ、「経営は自分でやらなきゃいけない」と1人で抱え込んでしまいがちです。特に、事業承継をされた新しい社長は、古参社員と意見が合わなかったり、社内で新たに地位を築いていくプレッシャーがあったりと、特有の悩みを抱えているケースがよくあります。
 経営を形にするということは、自分なりの経営スタイルを築いて実行していくという取り組みに他なりません。これは1人で片付けるには重たいテーマであり、抱え込んでいてもストレスや負担になり続けるだけです。
 だからこそ、まずは思い切って外部の専門家に話してみてください。スピードの面でもコストパフォーマンスの面でも、有効な解決策が見つかるはずです。私も開催したことがありますが、セミナーなどで情報収集していただくのも、最初の一歩としておすすめします。
では、池尻さんは実際にどのように経営を言語化し、中期経営計画としてまとめ、資金調達や実行支援まで伴走するのか。後編ではその具体的なプロセスを聞いた。

■ 専門家プロフィール

トラスタライズ総研株式会社 代表取締役 池尻 直人(いけじり なおと)

株式会社ブリヂストンにて約16年間、経営企画・マーケティングや新規事業開発など経営の中枢を担った実務経験を持つ中小企業診断士。米国公認会計士としての知見を活かした資金調達や、PDCAを回す経営計画の実行支援を得意とする。経営者と共に成長を目指し、寄り添う「社外経営企画室長・経営企画パートナー」として行う伴走支援を信条としており、経営企画の支援実績は40社超。

連絡先03-6774-7746 / info@trustalize.co.jp
ホームページhttps://trustalize.co.jp/

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